さて、前回でお店はピザ屋からたこ焼き屋になりました。
お店の常連客達は来るなりメニューがピザからたこ焼きに変わっていることに対して、お笑い芸人並みのリアクションで驚いてくれました。
「え?たこ焼き?ピザはもうやってないの?」
とお客さんに聞かれても、きっぱりともうない、と断言します。
「それよかたこ焼きも美味しいですよ、試してください」
と言って実際試してくれたのは10%くらいですかね。後の客は残念ながら戻ってくることはありませんでした。
しかしそれは分かりきっていたことです。既存客を失う代わりに新たな客を掴みに行くつもりですから!!
実際たこ焼きはピザから切り替えたその日に割と売れました。
ピザの平均売り上げを初日で越えるという快挙。
いや、今までが如何にクソだったかということですね(笑)
ちなみに従業員に対してたこ焼きの研修期間はありませんw
営業しながら教えました。
何しろ大手と違って内みたいな店には、そんな時間の余裕はありませんから。
最初はたこ焼きをひっくり返すのが難しいようで、僕がお手本を見せながら練習させました。
「Koko(肌が色白の人の呼び名)はひっくり返すのが上手いなー」、と従業員に言われて
「まぁな、日本で修行したからな!」
と、流れで嘘をついたりしてしまいましたが、確かに特に練習したことないのに何故たこ焼きが焼けるのか
自分でも不思議でしたが、恐らく小さな頃からお祭りなどの屋台で作っているのを見ていたからだとと思います。
こういったところで日本人としてのアドバンス、メリットが出ているなと得意気になる自分であった。
ところが2週間ほど経つとバイトのたこ焼きスキルは僕を優に超えてました。
当たり前ですが1日中たこ焼き焼いてたら上手くなるんですね~(笑)
これ以降僕は、たこ焼きの仕上りについては殆ど文句を言わなくなりました。
だって彼女達の方が上手いんだもの。
しかしこのバイトの子は若干のサボりぐせがあるのと、材料管理を適当にすることが多く、注意してもあまり効果は見られず
ちょっと頭を抱えていました。
これは日本での飲食ビジネスでも同じかもしれませんね。
もしくはスモールビジネスだと多くの従業員を雇えないので、従業員の力で結構店の実力が変わります。
考えたはてに思いついたのは、
もう1人従業員を雇おう
でした。
理由は
1. 店で不測の事態が起きても対応しやすい
2. バイト都合の休みに左右されなくなる
3. 従業員同士監視してもらうため。
です。
1.彼女は言われたことは大体やってくれますし、簡単なことなら自分で考えて行動してくれますが、
イレギュラーなことが起きると思考停止して何もできなくなってしまうことがありました。
(もしくはわけのわからんファンタジスタプレーで驚かされることもありましたが)
そういった時に相談できる人、もしくは業務を分散できる人がいれば多少のことでは大問題にならないと
考えたわけです。要は僕を呼び出してほしくないわけです。
2. 彼女の休みは基本的に固定でしたが、たまに体調を崩してとか、親の都合でといった形で
休みを取ることがありました。これだと営業日がばらつきお客さんにも迷惑が掛かってしまいますが
2人いればその心配はありません。
3.どちらかがさぼったら片方に負担がいくのでさぼりにくい環境だと考えました。
それには、仕事完了確認を僕が抜き打ちでする必要がありますが、大した手間ではありません。
これらのメリットは、従業員1名を追加する以上のメリットがあると思い決断しました。
1人の方が勿論利益は出やすいですが、1名であることのリスクの方が明らかに大きいと思ったわけです。
起業にリスクは伴いますが、リスクは少なくした方が良いですよね。
こうしてまた求人を開始しました。
するとすぐに若い女性から連絡がありました。
面談してみるとこれまた綺麗な子で、今のバイトの子と違い身長がモデルのように高くてスタイルもよい。
受け答えもしっかりしているし、計算能力も悪くはない。
※画像はイメージ
よし、3か月試用期間ありで採用。
これで店はうまくいく、そう思っていました。
しかし新しいバイトが来てから2日目に問題は起きました。
なんと既存のバイトの子が、新しい子とは働きたくないと言い出しました。
理由は、仕事を教えても「知ってる知ってる」みたいな態度を取られるのが気にくわないとのこと。
僕としてはそんな子のイメージではなかったので、思い切って本人に確認してみました。
すると、当たり前ですが新人はまじめに働いてるし、いうことも聞いているといいます。
うーん、予想はしてたけどこれは面倒くさいぞ。
まともに対応してたら絶対解決しないわ。
僕は今までの人生で似たような環境で働いたことがあり、今回の問題も同じものを感じていました。
もう少しいうと、日本にいる時には20人くらいの従業員(ほとんど女性)をまとめる仕事をしていたことが
あったのでこの手の問題は日常茶飯事なのです。
そしてその問題処理にもまあまあ慣れてました。
今回僕が出した結論は、
新人、辞めろ。
でした。
酷いと思いますか?
そうですね、新人の言っていることが正しければ僕がしていることは間違いかもしれません。
しかし、どちらが正しいか確認するのは非常に難しく、また、話し合って解決する問題ではありません。
こういうのは一度亀裂が入るとほとんど修復は難しいです。
傷口が深くなる前に迅速に解決する必要があります。
そしてこういう時の判断材料は一つ、
どちらが店に必要か、ということです。
その基準で考えると、入ってきたばかりの新人よりも業務を知っている既存バイトを守るというのは理解頂けると思います。
ましてやスモールビジネスですからね。
よって僕はその新人に、
「大変申し訳ないけども、今回の採用は無かったことにして欲しい」
と伝えました。
すると、そのバイトの姉が、姉が僕に電話で抗議してきました。
僕はひたすら謝って納得してもらいました。
いや、納得というより押し通したという感じですかね。
めっちゃくちゃ長いメールに返信して平謝りしたりして、めちゃくちゃ面倒でしたがね。
これは飲食ビジネスとかではよくある話だとは思いますがだるい・・・。
その後既存バイトに新人バイトの採用を止めたと伝えると、
「ありがとう!! Kokoにずっとついていくよ!!」
と感謝されました。
どちらが正しいという問題ではなく、選択の問題だったわけです。
政治と一緒で、何かを選べば何かがなくなる。
誰かが徳すれば誰かが損する。
これは自然の原理です。
何かを選択することは常にトレードオフなんです。
なのでリーダーや経営者は総合的にどちらが得か判断しなくてはならないんです、客観的に。
こういった選択は起業したら頻繁にあります。
ここで経営者の力が試されるといってよいでしょう。
ちなみにこの後新しいアルバイト候補の子が来て、結果的にこの子を採用しました。
結婚して子供もいるし、既存のバイトの子よりも落ち着いていたので
バランスがとれるかなと思い採用しました。
その後彼女は気が強く扱いにくいなと思ったのですが、ちゃんと向き合って話し合うと
とてもよく考えている子だとわかり、既存の子よりも頼りがいのある存在になりました。
すると僕の気持ちが伝わったのか、バイト1号が若干この2号に嫉妬しているような雰囲気を感じました。
そこで二人とも平等に評価するようにそれぞれのよいところを見つけ出し、それを相手に伝えました。
すると、1号の子も自分を認められたと思ったのか以前のような態度に戻りました。
こういったケアが飲食ビジネスでは必要なんですね。
ちなみにこの子たちは途中から僕のことをパパみたいだと言い出しまして、
「あれが食べたい」「あれば欲しい」とかおねだりするようになってきました。
まあそれは要所要所で期待に応えるんですが、子供の扱いになれてきている自分に
ふと「俺まだ子供いないのになんで子供の扱いになれてきてるんだろう?(笑)」
と思ったりして一人で笑ってしまったりするのでした。
まあ、人の管理は楽じゃないけど、はまるとめっちゃ楽しいんですよね。
これが飲食ビジネスの魅力かもしれません。
スモールビジネスの場合人数も少ないし管理しやすく、距離も縮まりやすいこともあります。
ということで次第に土台も固まってくるのでした。
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