前回ようやくピザ屋開店にこぎつけたわけですが、営業してみると早速色々と新しい発見があります。
例えば詳しい客層、混む時間帯、周りの店でどんなものをどれだけ買うか等。
それで気づいたのは、
みんな結構金使うってこと。
いや、といってもスモールビジネスなので数百円レベルの話なんですが、
彼らの所得レベルを考えると、そんなに使っていいの??
とこっちが心配するくらい食べるんですわ。
これがベトナムとか他のアジアの国に比べるとインドネシアは
そこまで外食文化は根づいていない気がするけど、
ちょっとした小腹を満たすようなものを買うのがどうやら好きみたい。
だから露店で販売してるのも、がっつり系よりいわゆるスナック系の方が多い。
ただ、小腹を満たすだけなのかと思ったら我慢できずに結構大量に
注文しちゃうんだけどね(笑)
その辺でご飯セットを食べたほうが確実に安上がりなんだけど、
恐らくそこには僕ら外国人にはわからないような価値があって、スナック大量買い
に走っちゃうんだよね。
これが結構飲食ビジネスを運営していく上でいいモチベーションになる。
ということで、これならちょっと単価の高いピザでも買ってくれるやろ!
と悠々と待っていたんですが・・・
客があまり寄ってこない・・・
勿論ちょろちょろは売れるんですが、隣でガンガン売れている揚げ物屋と比べると売上は天と地の差。
色々考えて、まず店の看板を滅茶苦茶派手に大きめに作って設置しました。
しかしほぼ客はその看板を見ないのよ。
結構ショックでした、これほどまでに客は広告に興味が出ないんだなと。
他の飲食ビジネスをしてる人もそう思ってるのかな?
メニューを見て止める人がいたので、今度は思い切って単価を下げてみました。
すると若干購入する人は増えましたが、逆に収益を圧迫することになり、
すぐに元に戻し、暫くしたら逆に値上げしました。
その時点で少ないながらもリピーターはいたので彼らは値上げしても買ってくれましたが、
新規の方は更に減ることに。。。
正直何がいけないのか全く分かりませんでした。
飲食ビジネス関連の本を読み漁り、POP、ポスターの改善をしたり
メニューの改善にも取り組みましたが差し当たり効果はありませんでした。
アイデアを考えようにも自分が店頭にいるとなんやかんやで話しかけられたりして考える
時間もなく、これはよくないなと。
よし、従業員を雇おう。
そう決めました、早速店頭に従業員募集!!求人ポスターを設置すると、
なんとどんどん求職者が来るではないですか!!
※写真はイメージ
おおー、こんなに職を探しているやついるんかー!
これは楽勝だな。
と思ったのもつかの間、いざ面接してみるとなんと算数が出来ないやつが多数だったのだ。
これは店の財布をとてもじゃないが任せられない。
求職者はあふれてるけどこっちの需要に合ってないと。
よくよく聞くとみんな中卒だったり、父親がいない子とかざらなんですよ。
こんな形で飲食ビジネスを通じてインドネシアの社会問題を身をもってなぜか実感するのだった。
そして同時にジャカルタで多くの飲食店が人材獲得に悩んでる理由が分かった気がした。
そんな中、一本の電話が鳴った。
聞くと友人の紹介でこの店を知ったと、そして週3,4日でよければ働きたいと。
電話の感じだと今まで面接した子たちとは違う落ち着いた雰囲気を感じて
不思議だが、すぐに面接の日取りを決めて会うことにした。
※写真はイメージ
結論的にはこの子が初のバイトになるのだった。
20歳の美人の女の子で他で働いているが兼業したいとのこと、
目的は家の家計を助けるためと。この子も例によって母親がおらず父親だけで育ってきたよう。
しかしそれなのに腐らず,むしろ他の店の子たちよりも落ち着いて、しっかりした大人っぽい雰囲気を兼ね揃えて育っていた。
(まあ周りの店の従業員と話している時はやはり子供っぽいのだが)
この子は非常に頭がよい子で、言ったことはすぐに覚えて実行してくれた。
お金の管理に関してもごまかしたりせずきっちり管理してくれた。
こんな子もいるんだなと正直感心した。
始めての飲食ビジネスでこんな子が来たのはめっちゃ助かる。
僕は今まで、インドネシアで堕落した大学卒のホワイトカラーの人達を多く見てきたこともあり人柄は学歴ではないなと改めて実感するのだった。
(そして後にだが、大学卒でもみな計算が苦手で、結局学歴ではなくインドネシア人の
弱点なのだと悟るのだった。。。。)
この子は男から非常に人気で、周りの店から男がどんどん寄ってくるのを見て
この子はアイドルになれる!!と確信した。
すぐにFBやIGでこの子を写真をUPして
「おいしいピザを焼いて待ってるよ(ハート)」 的なコメントをしたら
かなりの数のいいね を教えてもらえて、この子の力でお店が伸びる気がした。
しかし、現実は厳しく、写真の反応は良くてもお客の訪問には至らなかった。
当初お店は彼女目的の男で溢れてはいたが。
そして、数カ月経った時衝撃の事件は起きた。
この子が辞めたいと言い出したのだ。
理由は今の職場と遠くてしんどいからとのこと。
給料を上げるからまだいてくれとまでいって引き留めたが、彼女の決意は既に固く、
受け入れざるを得なかった。
そしてまた一人になった。
孤独。
起業家は孤独というけど、圧倒的な孤独。
事業がうまくいっていない時に仲間に去られる辛さ。
これは本当に辛い、孤独中の孤独だった。
ただでさえ売り上げが伸びずに悩んでいたのに、これでまた自分が店頭に立っても伸びる気はしない。
何よりも自分の考える時間が無くなる。
色々考えて頭がいっぱいになるし、あまりのショックに2週間僕は店を閉めた。
もうここで止めようか。
スモールビジネスとはいえ全くの素人が飲食ビジネスするなんて無謀だったのだろうか。
どうにもこうにもネガティブになり、何をするにもやる気が出ないように
なってしまった。挫折しそうだ。
自分の能力のなさにうんざりしながらも、2週間後になんとか店頭に立つと
周りの店の従業員からの紹介で一人のバイトを紹介してもらった。
目つきの鋭い女の子だが、顔は割と整った感じだ。
すぐにでも働けるというのですぐに色々と教えると、割とちゃきちゃきと動いてくれる。
そして自分で考えて動けるタイプだとわかってきた。
※写真はイメージ
この子はすぐに採用した。
性格は明るく、この子がいるだけで店の雰囲気が変わる感じで僕も明るくなった。
しかしながら問題はそれでもピザが売れないということだった。
1週間悩んだ末に僕が出した答えは、
たこ焼き屋に転換する、だった。
理由は、
①既によく認知されている②気軽に食べれる③みんな味が好き
④より僕の日本人パワーを出せる
あまりの商材の違いに授業員達も戸惑いを隠せない。
折角ピザの作り方を覚えたのにとか、ピザのファンがいるからつづけた方がよいとか
色々反対意見も出ましたが、僕の決意は揺るぎませんでした。
なぜなら、利益が出なければ慈善事業になってしまうから。
僕もファンを失うのは辛く酷く悩みました。
そして、好きなピザ屋を止めることに対する一種の罪悪感がありました。
しかし、利益が出なければどれもただの自己満足で終わる、と思いきっぱりとたこ焼き屋へ転換しました。
スモールビジネスってこうやってすぐに方向転換できるのがメリットよね。
ここから僕の大逆襲が始まるのだった。
Emodrum