前回はいよいよピザ屋出店というところまで話ました。
実際飲食ビジネスを始めるのに最低限必要なことって実はそんなに多くないんですよ。
①場所
②売るもの
③売る道具
④調理器具
⑤お金
こんなもんです。
①ビジネス立地
場所に関してはあらゆるモールを歩き回り、客が多く尚且つ安い立地という
バランスのとれた場所を探す必要があります。
調査を始めて気づいたんだが、これが思ったより結構高いんですよ・・
え?こんな場所でそんなに金取るの?
外国人だからぼられているのかな? そう最初は思いましたが、
色々な場所で値段を確認していくと市場価格が分かってきて、彼らが決して
無茶な金額を言っているわけではないと分かってきます。
そしていい場所は中々空かない。
いい場所というのは場所の割に安いという意味。
これはビジネスの鉄則というか、そこまで甘くないって感じかな。
建物の中にはいわゆる客導線沿いに如何に出店するかで売り上げが変わり、
そこから外れると余程の人気店かニッチな商材じゃないとまず客は気づかない。
これは結構皆気づきそうで気づかない方法。
それとか出店にはモールのマネージメントの許可がいるという場所もある。
でもメールしても当たり前のように返信はない。
電話してもとりあえず来いという。
客を呼びつけるとはいいビジネスしてるわ!
このネットが発達した時代になんで最初から訪問しなきゃならんのだ?
効率が悪くて発狂しそうな気持を抑えてマネージメントを訪問し、その後
必要な書類が分かったのですぐに全ての書類を揃えて後日また訪問。
すると、
マネージメントの若造「今スペースが空いてないからだめだ。」
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俺「だったら最初から言えや!!」
文句を言っても、まるで赤子を諭すように、「だめだよ」 といい続けるこやつに
何度飛びかかろうと思ったか。
しかしここはインドネシア、融通が利きます。
この若造は次第に笑顔であんだーまねーを要求してくるではありませんか。
はい、交渉の余地なし、光速退散。
日本人を舐めるなよ!
そんなこんなで余計なビジネスを立ち上げる前段階で苦労があったのですが、最終的にタイミング良く
好立地に空きが出来たのでそこをすぐ契約することになります。
インドネシア語の契約書だったから友達に頼んで読んでもらって
尚且つ面談に同席してもらいました。
不利な条件とか書いてあるかと警戒してたけど、意外と華僑の彼女は良心的で一般的な契約内容になっていたのが意外。
まあこの後このオーナーの腹黒さを知ることになるとはこの時は知る由もない・・・
②商品
これはここでいうピザです。
中流階級くらいまでの人が気軽に食べれる価格帯で
美味しいピザ、そして和風テイストをメニューに入れることで日本人が運営している
ことを全面に出します。
前回書いたように既に3か月間開発に時間を掛けているのでここは自信あり、後は売るのみ。
③売る道具
いわゆる屋台とかですね。こういった設備はどこで仕入れればいいかと悩んでいたんですが、
都合良く前入居者が屋台がいらないから売ってあげるとのことだったので即買いしました。
安いかどうか正直分からなかったけど、これから探す手間とか考えるとまあいいだろうと納得できる価格で取得。
こうして場所と箱も手に入れたのだった。
起業準備は少しづつだが進んでいく。
④調理器具
これは簡単。
モールにいくらでも機械や小物が売っている。
但し設備投資をなるべく抑えたかったので、品質に拘らないところはとことん安い店を探して手に入れた。
こうして調理も可能に。
スモールビジネスを始めるにあたって初期投資を抑えられるのがメリットですからね。
⑤お金
まあ必要なのは日々の仕入れや家賃が主で、尚且つスモールビジネスで
現金商売なのでそこまで必要ではなかったんですがね。
一応最低限のお金を用意して、これを増やしていこう!と意気込むのであった。
さあ、土台は揃った。起業準備OK、営業開始だ!!
開店日を決めてそこに向けて準備を間に合うように逆算方式で色々段取りすることに。
メニュー印刷どうする、看板作成どうする、材料の仕入先どうするとか
考えること、実行することが結構多い。
そうこうしているうちになんだかんだで初めてのこともあり、ドタバタして
営業日まではあっという間に過ぎた。
そして当日、土曜日に開店。
売れるであろう量の材料を持ち込み、開店時間前に店で下準備。
なんだろう、頭ではスムーズだったんだが、細かい備品の置き場所とか
想定してなかった消耗品とかその場で気づいて結構焦る。
そして開店。
いらっしゃいませー!
とインドネシア語で言ってみる。
周りの店の従業員からは冷やかし的に援護射撃で、「美味しいピザだよー」みたいな
半分野次を言われる。
本当に応援しているのかただ単に面白がってるのか分からなかったが、
盛り上がっていないよりはマシだし、何より1人でないような気持ちになり、少し楽になった。
気楽に店を始められたのはインドネシア人のこの気さくさとかラフなところなのかも
しれない、と途中からポジティブにすらなる。
そうこうしているうちにその瞬間が来た。
Ini apa? (これ何?)
Ini Pizza dari Jepang。(ピザですよ、日本からです)
OK、Satu ya. (OK、じゃあ一つね)
キター!!!!
開店一時間以内に一枚売れた。
これは幸先良いのではないか。急に未来が明るく照らされた気がした。
自分でも気持ち悪いくらいの笑顔でピザを作り始める。
恐らく人生で一番愛情こもったピザだったかもしれない。
そして、焼きあがって客に渡し、一口目をほおばるのをまるでPKを見ているような
目で食い入るようにみて、そして、
Enak!!(うまい!)
僕のピザはインドネシア人に受ける!!
仮説が確信に変わった瞬間でした。
同時に僕が人生で初めて自分のビジネスで売り上げた瞬間でした。
しかも海外で。
こうして僕はピザ屋で輝かしく、重みのある一歩目を踏み出したのでした。
Emodrum